車を廃車するときにかかる費用や相場は?お得に廃車する方法を徹底解説します

車を処分する際の選択肢としては、買取専門店に買い取ってもらうことや下取りに出すことを真っ先に思い付く人もいるのではないでしょうか。しかし買い取ってもらえる車両は、あくまで中古車としてのニーズがあるものに限られます。

その場合はやむを得ず廃車にすることになりますが、できるだけ余計な経費はかけたくないというのが本音です。ですが、場合によっては廃車により戻ってくるお金もあるため、廃車にかかる費用や相場についてはあらかじめ知っておきたいところです。

そこで今回は、車の廃車費用や相場について詳しく解説します。また、廃車以外の処分方法も紹介しますので愛車を手放すときの参考にしてください。

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廃車の種類

廃車費用について説明する前に、廃車手続きには永久抹消登録一時抹消登録という2種類があることをまずご紹介します。

永久抹消登録は「二度と車を使用しない」、つまり文字どおり永久に車として抹消する登録のことを指します。スクラップなど今後自動車として使うことがない場合は永久抹消登録を行います。

それに対し、一時抹消登録は「今は使用しないが、今後再び登録して使用する可能性がある」場合に行う廃車手続きです。この手続きをすることで公道を走ることはできなくなりますが、再登録するまでは自動車税がかからないというメリットがあります。

後述するように自分で手続きを行う場合、原則として永久抹消登録の手続きには費用がかかりませんが、一時抹消手続きには手続き様式の購入費用や手数料などの費用がかかるという違いがあります。

またいずれの場合も、手続き時の費用とは別に車両自体の処分費用は別途かかります。以下、特段の断りがない限り「廃車費用」という表記では書類上の手続き費用を除外します。

お得に車を処分する方法

年式が古かったり、走行距離が長い車の処分の場合、得することなどないと考える方もいるかもしれませんが、実際には還付金の有無や廃車にはせずに買取され再利用されるケースの有無など、よりお得に処分できることも少なくありません。

ここでは処分の際に知っておきたい点を、いくつか例示します。

廃車にする時期

廃車の時期設定に余裕がある場合、特に新年度明けに廃車を考えている場合は、新年度が始まる前、3月末までに廃車手続きを完了させるとお得です。

3月末までに抹消登録を完了すれば、毎年4月1日時点の所有者に課せられる自動車税(種別割)がかかりません。年度途中で抹消登録をしても月割計算で還付されますが、年度内に廃車をすれば還付手続きも不要です。(3月1日~31日まで)

特に月割の制度がない軽自動車税では、廃車時期によって1年分まるまる納めるか非課税になるかが変わるので、是非頭に入れておきたいところです。

廃車になる目安

車は機械として使える限り寿命が来ないという理屈ですが、実際には走行距離や経過年数などにより、廃車と判断されやすい目安があります。

一般財団法人日本自動車検査登録情報協会の調査によると、廃車に至るまでの平均使用年数は13.87年(2021年調査)となっています。以前は廃車までは初回登録から15年・走行距離10万kmが目安とされていましたが、現在の車は耐久性も格段にアップしており、まだまだ走ることには問題がないケースが多いようです。ただ、これらの年式・走行距離を超えると徐々に故障やトラブル、部品交換等で高額な費用がかさむ可能性が高まるため、この目安を超える車は買値が付きにくいと言われています。

廃車費用がかかる車なのかを確認。買取価格がつく場合も。

一般的な廃車は、買取価格が付かないなど車としての価値がなくなるために行われることが多く、その場合、廃車費用として様々な経費を支払う必要があります。

一方、業者によっては車としての価値はなくても部品や金属資源としてのニーズがあるため、廃車費用なしで引き取ってくれる業者もあります。

また、車種やモデルによっては、車そのものの価値がまだあると判断され、廃車せずに買取価格が付く場合もあります。

中古車市場で人気の高い車種はその傾向が強く、海外での需要が高い車種は年式や走行距離を問わず廃車にならないケースもあります。

ここからはいくつかの車種・モデルをピックアップし、実際の売却事例をいくつか紹介します。(以下、全て2022年9月時点)

トヨタのSUV・ミニバン

トヨタ車はフルサイズSUVやミニバンを中心に、比較的ボディサイズが大きい車種の人気が高い傾向です。これはいずれも海外での人気が高く、海外輸出に強いことが大きな理由です。

車種名 15年落ち(2007年式)・走行距離 10万km 平均買取価格
ランドクルーザー 114.9万円
ランドクルーザープラド 110.4万円
ハイエースバン 35.9万円
ハリアー 34.1万円
アルファード 15.3万円

※いずれも2022年9月27日現在の価格

コンパクトカーのスポーティーグレード

一般的にコンパクトカーは年式落ちによる買取価格の下落が激しいといわれていますが、一部のスポーティーグレードでは値落ちしないどころか、新車価格と同程度の評価を受ける車両もあります。これは、90年代~2000年代の一部モデルが近年中古車市場で人気が高まっている一方、状態の良い車両が徐々に減少しており、希少価値が上がっていることが要因です。

車種 年式・走行距離 買取相場価格
トヨタ スターレット グランツァV 1999年式/2万km 77.6万円~100.4万円
三菱 コルト ラリーアート バージョンR 2012年式/2万km 39.5万円~62.1万円

※いずれも2022年9月27日現在の価格

電気自動車(EV)も将来価値が上がる可能性あり

近年ではカーボンニュートラルを謳い、電気自動車(EV)の流通台数が増えており、今後はEVの廃車も増加が見込まれます。

EVは駆動用バッテリーに用いられるリチウムイオン電池の再利用が想定されるため、車としての性能低下や寿命がきてもある程度の価格で買取が行われる可能性も今後は十分考えられるでしょう。

廃車になりそうな車でも、相見積もりを取るのがおすすめ

一見すると廃車せざるを得ないような車でも、場合によっては価値があると見なされ買取ってもらえることもあります。全ての業者で必ず買取価格が付くわけではないので、1社だけではなく必ず相見積もりを取り、適正な価値を知った上で処分先を決めましょう。

廃車の費用相場

自分で手続きをしてもディーラーや業者に依頼しても、廃車手続きには様々な経費がかかります。運搬費用や解体費用といった基本的な費用の内訳は業者による違いはあまり見られませんが、代行手数料は業者により設定額が異なります。

また自分で手続きする場合は手数料が節約できます。依頼する場合との違いも含め、おおよその相場を確認しておきましょう。

自分で手続きするか、業者に依頼するか?

廃車の手続き自体は、陸運局もしくは運輸支局に行き自分でも行うことができます。近くに陸運局等がある場合や手続きの時間が取れる場合はこの方法も可能ですが、遠方に住む人や時間の都合がつかない人は業者に依頼することになるでしょう。

業者に依頼する場合は代行手数料を別途支払う必要が出てきますが、ほかにも費用面でチェックしておきたい点をいくつか紹介します。

廃車を依頼する先によって相場が異なる

廃車手続きを業者に代行してもらう場合は、どこに依頼するかで費用の相場が異なります。

一般的には、スクラップなどを自社対応できる解体業者は手数料がかからず、ディーラーの場合、手数料が発生する場合があるようです。

また車種や廃車する車両の状態によっては、車両を引き取ってもらえないケースがあります。廃車費用の見積をとる際にはこの点もしっかり確認した上で、依頼先を決定しましょう。

状況によってプラスで費用がかかる場合も

車を廃車にする際、状況によってはプラスアルファで費用がかかることもあります。

バッテリーあがりやエンジン故障などで自走ができない不動車の場合は、車を運搬する際にウィンチの積み込み作業が生じることも想定し、運搬費用が追加で掛かるケースがあることを頭に入れておきたいところです。

また、車に装着しているナビやオーディオ、ETCなどのパーツを次の車にも使い回す場合は、別途脱着工賃がかかります。詳細は、以下の記事で詳しく解説しています。

廃車にかかる費用の内訳

廃車手続きを自分で行う場合というのは想定しにくいかもしれませんが、業者に依頼しない場合も解体費用や運搬費用・リサイクル料金などの費用がかかります。

それぞれの内容や費用の相場を、改めて確認しておきましょう。

解体費用

廃車した車両の解体を業者に依頼する場合、1万円~2万円程度が費用の相場と言われています。しかし近年では、解体業者が個人からの依頼を受けないケースも増えているようです。

自身での解体依頼を検討している場合は解体業者へ事前に確認し、対応してもらえない場合は無理に自分で完結しなくともよいのではないでしょうか。

引き取り運搬費用

前述の通り、廃車する車両が自走できない不動車の場合、車両を引き取るための運搬費用がかかる場合があります。不動車の中でも「車検切れ」「自賠責保険未加入の状態」等で法的に公道を走行できない車の場合は通常の積載車で運搬可能です。相場は5,000円~1万円程度と言われており、遠方での引取の場合は費用がより高くなることがあります。

一方、事故や故障により物理的に動かない車両はウィンチの積み込み作業が必要になる可能性が高く、その分運搬費用もより高くなります。

リサイクル料金

リサイクル料金は地球環境に配慮するため、パーツの材料をリサイクルするという目的で徴収されます。

2004年以前に新車登録した車両は廃車時にリサイクル料金を支払わなければならず、軽自動車で約8,000円、普通自動車は約1万円、輸入車の場合約2万円程度の料金となっています。(車両によって異なります)

一方、2005年1月以降に新車登録した車両については、「自動車リサイクル法」により車両代と同時にリサイクル料金を納めるよう義務付けられています(リサイクル預託金)。そのためリサイクル料金を既に納めた証拠としてリサイクル券が発行されますが、廃車時まで大事に保管しておかなければなりません。

廃車後に戻ってくるお金(還付金)

廃車手続きをすると、先の分まで予納している税や費用の一部が還付される場合があります。具体的には「自動車税種別割」「自動車重量税」「自賠責保険料」があり、このうち後者2つは買取価格に上乗せされることもあります。

一方、自動車税種別割の還付手続きは自分で行う必要があることに加え、廃車手続きを代行する業者の中には還付をしてくれないところもあるので、この点はあらかじめしっかり確認しておきましょう。

自動車税(種別割)

自動車税(種別割)は4月1日時点の所有者に対して課税されるものですが、月割計算の制度があるため、年度途中で廃車すると納めた額から年度末までの期間に応じ税の返納を受けられます。具体的には、以下の計算式を用います。

1年の自動車税額÷12カ月×登録抹消した翌月から3月までの残存月数

排気量1,000cc未満、かつ初回登録から13年未満の乗用車を9月に廃車する場合は、次の額が還付されます。

年額29,500円÷12カ月×6(10~3月)=14,750円

ちなみに軽自動車には軽自動車税(種別割)が課税されますが、こちらは月割制度がないため税の還付はありません。そのため軽自動車を廃車する際は白ナンバーの登録車(普通車)以上に時期を見極める必要があります。

自動車重量税

自動車重量税は、車検を受けるときに次回の車検時期までの分を納付します。車検が残った状態で廃車手続きをする場合、車検の有効期間が1カ月以上残っていれば自動車重量税の還付を受けることができます。還付申請は廃車と同時に行う必要があり、手続きから振込まで数カ月を要する場合があることにも注意しなければなりません。

そのため、還付手続きも業者が代行し還付額相当を買取額に上乗せする場合も多いようです。

自賠責保険

強制保険という別名でも知られている自賠責保険は、原則として次回車検までの期間分を車検時に加入し保険料を支払います。

廃車にすると未経過分が不要となり、有効期間が1カ月以上残っていれば納めた保険料を返納してもらえます。重量税と異なるのは手続きのタイミングで、廃車手続きが完了した後、自ら保険会社に解約申請の連絡を入れなければなりません。

保険会社からのお知らせはないので、自賠責保険の解約も忘れずに行いましょう。

まとめ

廃車は、使わなくなった車がたどるルートのひとつですが、手続きの種類やどの業者に依頼するかどうかなど検討しなければならないことが数多くあります。

車両によっては廃車以外の余生を送るものもありますが、その判断は難しいところです。使わない車を直ちに廃車するという時代は終わったのかもしれません。手間暇や出費額、還付される額を総合的に検討し、できるだけお得に廃車処分するようにしたいものです。

そのためにも、1社だけに見積もりを取ってそのまま売るのではなく、複数の廃車業者・買取業者からから相見積もりを取り、車の価値に応じて一番高い売り先を見つけることが重要です。

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