車の買い替え時の保険切り替えタイミングで知っておきたい5つのポイント
自動車保険は所有者ではなく自動車に紐づけられます。そのため、車を買い替えたら保険の切り替えが必須です。しっかり手続きを済ませておかないと、乗り換えのタイミングで事故にあったときに後悔しかねません。
では、保険の切り替えには、どのような手続きが必要なのでしょうか。この記事では、切り替えが必要な保険の種類やそのタイミング、手順や必要書類など、保険の切り替えに必要な知識を基本から分かりやすく解説します。
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目次
車を買い替える時、切り替えが必要な保険には2種類ある
自動車保険には「自賠責保険(強制保険)」と「任意保険」の2種類があります。車を買い替えたら、両方の保険の切り替えが必要です。
ただし、自賠責保険と任意保険では、手続きのやり方が異なります。
自賠責保険は新規加入が必要
自賠責保険は、前の車の保険を新しい車に引き継げません。そのため、車を買い替えたら、新しい車の自賠責保険を新規で契約する必要があります。手続きは自分でもできますが、新しい車の販売店が代行してくれるケースがほとんどです。
なお、前の車の自賠責保険の契約期間が残っている場合、残り期間によっては差額が戻って来る場合があります。
自賠責保険の解約に必要な書類は保険会社ごとに異なりますが、一般的に以下のような書類が必要です。
- 自動車売買契約関連書類
- 自賠責保険証明書
- 自動車損害賠償責任保険承認請求書
任意保険は車両切替が必要
任意保険の切り替えには2つの方法があります。
1つは、現在加入している保険を解約して、新しい保険を契約する方法。もう1つは、加入している保険の「車両切替」をして、補償対象になっている車を変更する方法です。
車両切替をすると現在の保険契約が継続されますが、一部の条件は見直されます。新しい車へ乗り換えるまでに車両切替が完了しないと、補償を受けられない可能性があるので注意しましょう。
いつまでにやるべき 切り替えのタイミング、期間
自賠責保険の新規契約と任意保険の車両切替は、どのタイミングで手続きを進めればよいのでしょうか?
ここでは、自賠責保険の新規契約と任意保険の車両切替手続きの進め方について解説します。
乗車日に合わせて事前の切り替えがベスト
自賠責保険の新規契約と任意保険の車両切替手続きは、どちらも車を乗り換える前に済ませておきましょう。
自賠責保険は、個人売買の場合を除けば、車の購入時に販売店で手続きをすることがほとんどです。そのため、基本的に販売店の案内通りに進めれば問題ありません。
もし、個人売買で車を入手する場合は、あらかじめ保険会社に問い合わせを行って、必ず車を乗り換える日から補償が適用されるように手続きをしてください。もし自賠責保険へ加入せずに公道を走ってしまうと、法律違反になるので注意しましょう。
任意保険の車両切替手続きは、自分で行う必要があります。新しい車の納車日が決まった段階で保険会社に問い合わせるのがおすすめです。保険会社の案内に従って、納車日から補償が適用されるように手続きを進めましょう。
なお、任意保険の補償が切り替わるタイミングは、新しい車を運転し始めた時点です。例えば、納車日に前の車を運転して、新車を引き取りに行く途中で交通事故にあった場合、保険適用対象は前の車になります。引き渡しを受けて納車されたら、新しい車に対して保険が適用されます。
30日以内なら切り替えが可能
ほとんどの保険会社では、車両切替において「30日条項」と呼ばれるルールがあります。これは、車を乗り換えた後30日以内であれば車両切替の手続きが可能というものです。納車までに車両切替が間に合わず、かつ30日が経過していない場合は、保険会社に対応可能か問い合わせてみましょう。
なお、30日条項の条件は保険会社ごとに異なります。
もし30日を過ぎてしまったら…
30日条項の期間が過ぎると補償対象の車を切り替えることができません。この状態で補償の対象になるのは前の車両なので、新しい車で事故を起こしてしまった場合、一切補償はしてくれません。
そのため、期間が過ぎてしまったことに気が付いた時点でなるべく保険会社に連絡し、必要な手続きの指示を仰ぎましょう。
車両切替の手順と必要書類
車両切替の手順と必要書類は保険会社によって異なります。ただし、各社で共通している点も多いです。ここで車両切替の前提条件と合わせて確認しておきましょう。
車両切替の条件
一般的に車両切替は、以下すべてに該当することが条件となります。
- 切り替え前の車が廃車、譲渡または返還されていること
- 切り替え後の車の所有者が、以下のいずれかに該当すること
・切り替え前の自動車の所有者
・被保険者
・被保険者の配偶者
・被保険者またはその配偶者の同居の親族
・ディーラー(所有権留保条項付売買契約の場合)
・リース会社(1年以上のリースの場合) - 自家用車の切り替えの場合、切り替え後の車も自家用であること
なお、切り替え後の車が譲り受けたものの場合は、先に名義変更を済ませたうえで、切り替え手続きを行ってください。
ディーラーでやってもらう場合
車両切替の手続きはディーラーに対応してもらうこともできますが、書類の受け渡しや委任状の作成などで時間がかかることが多いようです。
車両切替の手続きはさほど複雑ではなく、必要書類も多くありません。通販型の自動車保険ならWebサイト上での手続きも可能です。手続き時間を短縮するために、自分で対応する方法も知っておくといいでしょう。
車両切替の手順 まずは保険会社に連絡
自分で車両切替をする場合、まずは保険会社に連絡をして手続き方法や必要書類を確認しましょう。車両切替は法令で定められていないので、保険会社ごとに手順や必要書類が異なります。保険会社に説明を受けながら進められるので、スムーズに手続きを進められます。
代理店型の自動車保険は、保険代理店やディーラーを通じて保険会社に連絡をしてもらい、必要書類や手続きを確認します。
通販型の自動車保険は、保険会社のWebサイトに掲載されている手続き手順に従って、自分で手続きを進めましょう。
必要書類の準備
ここでは大手保険会社4社の必要書類を一覧で紹介します。必要書類の目安としてご覧ください。
保険会社 | 損保ジャパン | 東京海上日動火災保険 | 三井住友海上 | ソニー損保 |
必要書類 | ・保険証券または保険契約継続証 ・新しい車の書類(車検証、検査記録事項等証明書、軽自動車届出済証、標識交付証明書など) ・購入金額がわかる書類(売買契約書など) |
次のいずれかの書類 ・新しい車の車検証 ・自動車検査記録事項 ・登録事項等証明書 ・検査記録事項等証明書 ・リース契約書 |
・保険証券番号 ・新しい車の車検証または自動車検査証記録事項など ・新しい車の注文書または売買契約書 |
・新しい車の車検証 ・積算距離計の数値(新しい車と変更前の車両方) ・新しい車の購入金額情報(値引き前の金額) ・金融機関口座 |
Webサイトからの手続きの可否 | 可能 | 可能 | 可能 | 可能 |
新しい車の納車前で車検証が用意できない場合は、型式、車名、初度登録年月、登録番号、車台番号、所有者の情報などがあれば手続きできる場合が多いようです。販売店に問い合わせ、情報を教えてもらいましょう。
確認したい、等級の引き継ぎ、保険料の差額
任意保険の車両切替をすると、基本的に契約条件は引き継がれます。ただし、場合によっては条件が引き継げないケースや、変更が伴うこともあるのでご注意ください。
ここでは、車両切替における保険等級の引き継ぎ条件について説明します。
等級の引き継ぎは 、同居の家族のみとしていることが一般的
任意保険の車両切替では、基本的に保険等級はそのまま引き継がれます。ただし、被保険者を変更すると引き継がれない場合があります。
一般的に、等級の引き継ぎが可能なのは「同居の家族のみ」です。
ここでいう「同居」とは、多くの場合「同一家屋に居住している状態」を指します。ただし、保険会社ごとに取り扱いに差があるので、敷地内同居や二世帯住宅など、同居に該当するか悩むケースは保険会社に問い合わせましょう。
また「家族」とは、多くの場合「親族(6親等内の血族、配偶者、および3親等内の姻族)」を指します。こちらも詳細な判断は、保険会社に問い合わせましょう。
空白期間が8日以上あると、等級の引き継ぎができない
前の自動車保険の満期日の翌日から、新しい自動車保険の始期日まで8日以上空いてしまうと、原則として保険等級の引き継ぎができなくなります。
たとえば、5月1日が満期日の場合、5月8日までは等級を引き継げますが、5月9日からは引き継げなくなります。
保険料は変わる?
保険料は車種や用途、型式などによっても変動するので、任意保険の車両切替に合わせて保険料も変わることがあります。保険料が高くなる場合は差額の支払いが必要になり、保険料が安くなる場合は差額が払い戻されます。
最近では衝突軽減ブレーキが装備されている「ASV(先進安全自動車)」を対象とした割引があります。ASV(先進安全自動車)とは、衝突被害軽減ブレーキやペダル踏み間違い時加速抑制装置など、事故を未然に防ぎ、安全運転を支援するシステムを搭載した自動車です。割引の条件や割引率は保険会社ごとに異なるので、新しい車がASVに当てはまる場合は、割引を適用できるかチェックしておきましょう。
車を買い替えるときに、保険も見直すべき?
車を買い替えるときは、保険も同時に見直してみるとよいでしょう。
車の買い替えは、背景にライフステージや生活環境の変化がある場合が多く、保険料はもちろん、補償内容や保険の対象者も見直す良いタイミングです。また、保険加入から時間が経っているなら、この機会に新しい保険商品をチェックし、複数社を比較するのもよいでしょう。
では、具体的にどのような点を見直せばいいのでしょうか。ここでは補償内容の見直しと、保険会社を変更するときの注意点を解説します。
補償内容を見直す
補償内容で見直しておきたいポイントは以下の通りです。
- 相手方への補償
- 搭乗者の補償
- 車両の補償
- 特約
- 運転者の範囲
予想年間走行距離や使用目的、運転者の年齢条件といった変更があると、保険料も変わる可能性があります。通勤に使う方は場所や家からの距離、使用目的などが変わった場合は保険料に影響する可能性があるので必ずチェックしましょう。このとき、必要な補償内容が決まっても、すぐに契約するのではなく、同じ補償内容で複数社の金額を比較するとよいでしょう。
また、一般的に通販型は代理店型よりも安い傾向にあります。保険料をなるべく安くしたいのであれば、通販型も候補に入れるとよいでしょう。
保険会社を変更する場合
車の買い替えに合わせて保険会社を変更する場合は、以下の3点に注意が必要です。
- 契約期間中に解約すると等級アップのタイミングが遅くなる
- 2台以上の車を所有する場合、保険会社やプランの見直しが必要
- 解約から新規契約まで8日以上の期間が空くと等級を引き継げない
通常、自動車保険は契約から無事故で1年経過するごとに等級が上がり、保険料の割引率が高くなります。保険等級は保険会社が変わっても引き継ぎが可能ですが、契約期間の途中で保険会社を変更すると、その時点で1年のカウントが途切れ、新しい保険会社であらためて1年のカウントが始まります。つまり、等級アップが1年分遅れるということです。
車を2台所有していると、両方を同じ保険会社でそろえるべきか悩む方もいると思いますが、無理にそろえる必要はありません。保険会社が違っても、等級の引き継ぎや割引の適用などは受けられるので、補償内容や保険料金をしっかり見比べましょう。
また、車を2台以上所有している場合、1台目の等級が一定以上であれば、2台目の等級を7等級から始められる「セカンドカー割引」という制度を利用できます。保険会社が別でも条件を満たせば、セカンドカー割引の適用は可能です。
車を買い替えと保険の切り替えはセットで考えよう
車を買い替えるときは、保険の切り替えをセットで考え、手続きを忘れないようにしましょう。車両切り替えをして、等級の引き継ぎができれば、保険料の割引が継続されます。
切り替え手続きは納車前に済ませておくのが基本ですが、間に合わなかった場合は乗り換え後でも30日以内なら対応可能です。等級の引き継ぎは、前の保険の満期日の翌日から7日目までが期限です。8日以上過ぎると等級が引き継げなくなります。
保険の見直しも合わせて行うのであれば、補償内容の検討に必要な時間を考えて、早めに動きだしましょう。何事も早めに対応することが、自動車保険をお得にするコツです。
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